ヤクルトの奥村政之国際グループ担当部長は30日、スコット・マクガフ投手と来季の契約を結ばないことを明らかにした。
米大リーグへの復帰を目指すという。
米国出身のマクガフは2019年にヤクルト入りし、抑えとして21年からのリーグ連覇に貢献。通算236試合登板で15勝8敗80セーブ、59ホールドだった。[ 11/30(水) 19:11配信 時事通信 ]
37.スコット・マクガフ(2019-2022)
2018年12月25日に獲得が発表された。背番号は「37」。
来日当初は中継ぎだった。2019年3月30日阪神戦(京セラ)2番手投手として来日初登板。4月10日広島戦(マツダ)で5番手として9回裏を無失点に抑えると,直後の10回表に打線が一挙12得点を挙げ来日初勝利を挙げる。しかしチームは投手の駒不足。リードビハインド関係なく毎日のようにデビッド・ハフ,マクガフ,ハフマクガフが起用されていた日々。7月4日広島戦(マツダ)で体調不良を訴えた石山泰稚の代役として来日初セーブをマーク。オールスターにもインフルエンザ罹患の石山の代役として初選出された。一時ハフに抑えを譲った時期もあったが,計65試合に登板し,6勝3敗18ホールド11セーブ。
2020年はセットアッパーとして君臨。無人の一塁への牽制球事件もあったが,50試合に登板し4勝1敗。リーグ4位の27ホールドポイントをマーク。オフに新たに2年契約を結んだ。
2021年もセットアッパーとして起用されていたが,石山の不振により5月後半からストッパーに配置転換される。以降の活躍はもはや説明不要だろう。9回にこの曲が流れればもう何の心配もなかった。
6月には月間10セーブ。これは2000年5月・2001年8月高津臣吾,2005年8月石井弘寿,2009年5月林昌勇,2012年9月トニーバーネットの月間9セーブを上回り球団新記録。東京オリンピックアメリカ代表にも選出され銀メダルを獲得。66試合に登板。3勝2敗31セーブ14ホールド。
クライマックスシリーズファイナルで胴上げ投手。日本シリーズでは2敗を喫するも,第6戦で延長10回途中から2回1/3を無安打無失点に抑えきり,勝利投手と胴上げ投手に。
不動の守護神の座を確固たるものとした2022年。
5月31日ロッテ戦から自己最多記録を更新する10試合連続セーブ。8月17日阪神戦(神宮)で両リーグ最速の30セーブに到達。球団では2004年五十嵐亮太以来18年ぶりとなる両リーグ一番乗り。2年連続30セーブは2011年林以来11年ぶり球団史上4人目。55試合に登板し2勝2敗38セーブ4ホールドと圧巻の成績だった
日本シリーズ第5戦。1点リードの9回裏に登板。自らの送球エラーで同点とされ,吉田正尚にサヨナラホームランを浴び敗戦投手に。シリーズ史上初となる救援投手として通算3敗目を喫した。第6戦でも1点ビハインドの場面で登板したが再び犠打処理を一塁送球エラー。第7戦のベンチ入りメンバーから外れていた。
奧村国際グループ担当部長「(来季マクガフと)契約はしないことになります。退団になります。考え方に開きがある状況でここまできた。本人と話したけど、大リーグ復帰を目指して挑戦したいということだった。本人の希望する方向を後押ししようということになった。いい話がきっとあったんでしょう。3Aの無名の選手が弱いスワローズに入って、頂点に引き上げた選手なので、感謝してもしきれない。本当に野球内外で素晴らしい選手だった」
2015年オフのトニー・バーネット同様に胴上げ投手のメジャーへの復帰を後押しする形となった。トニーもマイナーからヤクルトでジャパニーズドリームを掴みメジャーへ復帰した。スコットも年齢的にラストチャンス。快く送り出したいという気持ちしかない。もし一塁送球イップスに陥っていたとしたら,来季犠打攻めされただろう。それによって批難を浴びるような光景は見たくなかっただけにどこか安堵の気持ちもある。
全てリリーフで通算236試合に登板し15勝8敗80セーブ。防御率2.94。何より特筆すべきはこの4年間一度も登録抹消が無かった(五輪休止期間除く)ことだ。2年連続最下位と2年連続優勝。弱い時から支えてくれたマクガフ。
順当にいけば清水が守護神の座に収まるのだろう。しかし経験の石山がそこを奪い返すのか。木澤を抜擢するのか。あるいは栗林大勢のように吉村が一気にその座に就くのか。
いずれにしてもチームは3連覇を目指すうえで大きな転換期を迎えたことだけは確かだ―。
【記録】
・初登板:2019年3月30日阪神戦(京セラドーム)
・初奪三振:2019年4月3日DeNA戦(神宮)[M口遥大]
・初ホールド:2019年4月4日DeNA戦(神宮)
・初勝利:2019年4月10日広島戦(マツダスタジアム)
・初セーブ:2019年7月4日広島戦(マツダスタジアム)
・オールスター出場:3回(2019・2021・2022年)
年度 | 登板 | 勝利 | 敗北 | S | H | HP | 投球回 | 安打 | 本塁 | 三振 | 失点 | 自責 | 防御率 | |
2019 | 65 | 6 | 3 | 11 | 18 | 24 | 68 | 2/3 | 71 | 2 | 64 | 25 | 24 | 3.15 |
2020 | 50 | 4 | 1 | 0 | 23 | 27 | 46 | 42 | 4 | 52 | 20 | 20 | 3.91 | |
2021 | 66 | 3 | 2 | 31 | 14 | 17 | 64 | 1/3 | 43 | 7 | 76 | 19 | 18 | 2.52 |
2022 | 55 | 2 | 2 | 38 | 4 | 6 | 53 | 2/3 | 39 | 5 | 59 | 16 | 14 | 2.35 |
計 | 236 | 15 | 8 | 80 | 59 | 74 | 232 | 2/3 | 195 | 18 | 251 | 80 | 76 | 2.94 |