球団史上ワーストとなる96敗。チームの再建を託された小川淳司監督は「再起」をスローガンに掲げ,チームは僅か一年で75勝66敗2分 勝率.532。最下位からセ・リーグ2位にまで上り詰めた。借金51から貯金9で前年比+60。これは1976年に前年借金29から貯金31で優勝した巨人と並び,2リーグ制以降における日本プロ野球タイ記録となった。
キャンプイン直前にMLBから青木宣親が7年ぶりに電撃復帰するという形で幕を開けた2018年。それでもチーム再建への道のりは決して平坦なものではなかった。
3月30日開幕DeNA戦(横浜)。昨年一年間怪我で1試合も試合出場が無かった川端慎吾が故障からの復活を示す本塁打を放ち開幕戦を勝利で飾ると,翌3月31日DeNA戦(横浜)には石川雅規が自身の連敗を11で止める白星を挙げ開幕カードを勝ち越し。4月6日からの巨人との3連戦では7日巨人戦(神宮)に4年目の風張蓮,翌4月8日巨人戦(神宮)には2年目中尾輝がそれぞれプロ初勝利を挙げ,開幕からの3カードを6勝3敗とまずまずのスタートをきった。
一方で藤井亮太,畠山和洋が開幕早々にコンディション不良で戦線離脱。4月10日からの中日戦(ナゴヤドーム)で同一カード3連敗を喫し貯金を使い果たすと,4月15日阪神戦(甲子園)から5連敗。さらに4月25日阪神戦(松山)から5月3日中日戦(神宮)荒木貴裕のサヨナラ打で連敗を止めるまで6連敗。4月30日に最下位へと転落しており,早くも定位置と揶揄された。
開幕スタメンに名を連ねていた山崎晃大朗,廣岡大志はレギュラーを掴めず二軍落ち。育成選手から支配下登録された田川賢吾,大村孟。ルーキーのドラフト7位松本直樹,ドラフト8位沼田拓巳。高卒2年目の古賀優大といった若手を続々と一軍起用していった。
5月15日巨人戦(鹿児島)で新外国人デーブ・ハフが7試合目の先発登板でようやく来日初勝利を挙げたが翌5月16日巨人戦(鹿児島)から6連敗。とうとう借金は11にまで膨れ上がり,これまで8年連続負け越しと苦手にしている交流戦に突入する。その初戦となる5月29日ロッテ戦(神宮)も完敗スタート。今年もこのままずるずると行ってしまうのか・・・と思われた。
しかしここからロッテ,楽天,ソフトバンク,オリックス,西武と5カード連続で勝ち越すと,6月17日日本ハム戦(札幌ドーム)に勝利し,優勝に相当する「最高勝率」を決めたのだ。セ・リーグでは巨人以来2チーム目。もちろんチーム史上初の交流戦最高勝率。96敗の負け犬チームは完全に自信を取り戻した。
とりわけ交流戦期間中光ったのが,中尾から近藤一樹につなぎ,最後は石山泰稚が締めるという,いわゆる勝利の方程式を確立できたことだ。開幕直後はストッパーを任されながらも失敗が目立ったマット・カラシティーも配置転換が功を奏し3勝を挙げた。
リーグ戦に戻り,6月24日巨人戦(東京ドーム)から6月29日阪神戦(神宮)まで5連勝。とうとう勝率を4月17日以来となる.500に戻す。ところがこの試合で青木が頭部に死球を受け退場。青木を欠いたチームはここから8連敗。34勝42敗1分の最下位で前半戦を終えた。中日から移籍したジョーダン・アルメンゴに至ってはコンディション不良のまま帰国しそのまま契約解除処分。6月に新外国人ジェイソン・ウルキデスの獲得に動いた。
そして迎えた後半戦。結論から言うと41勝24敗1分 勝率.631の快進撃で,前半戦終了時点の最下位から2位に躍進。とりわけ目立ったのは終盤での逆転劇で,シーズン通算の逆転勝利は広島の41試合に次ぐ38試合と,あきらめない姿勢,小川監督が何度も口にした「執念」を何度も見せてもらった。
後半開幕戦の7月16日DeNA戦(横浜)。0-1で迎えた9回表2死満塁から代打谷内亮太が決勝タイムリー。8月14日巨人戦(神宮)では4-5と1点を追う9回裏0死一二塁から代打起用された三輪正義がキッチリ犠打を決め,川端のサヨナラ打を呼び込んだ。極めつけは9月4日中日戦(神宮)。3-9と6点ビハインドの9回裏代打武内晋一の本塁打を口火に1点差に迫り2死一塁から大引啓次のタイムリーで同点に追いつき,延長11回上田剛史がサヨナラ3ランと伏兵が活躍するシーンも際立った。
青木はリーグ4位の打率.327。高井雄平はキャリアハイとなる打率.318。青木の加入で一塁手としての出場が多くなった坂口智隆は打率.317でオリックス時代の2010年以来8年ぶりに3割に乗せた。山田哲人は打率.315,本塁打34、盗塁33。2年ぶり自身3度目となるトリプルスリーを達成。ウラディミール・バレンティンは自身の持つ球団記録に並ぶ131打点で打点王。西浦直亨がショートのレギュラーポジションを掴み,自身初の規定打席に到達した。
キャプテン中村悠平は打率.211と低迷。その中村と併用という形で井野卓はプロ13年目にして自己最多を大きく更新する47試合に出場。プロ初の二塁打も記録(3本)した。キャンプ直前に故障を訴えた西田明央は9月26日の一軍登録で4試合の出場にとどまった。
9月16日広島戦(神宮)で高卒ルーキー村上宗隆がプロ野球史上64人目となるプロ初打席初本塁打の衝撃デビュー。ルーキーではドラフト6位宮本丈が8月18日阪神戦(神宮)で小野泰己から,ドラフト4位塩見泰隆が10月7日阪神戦(神宮)で岩崎優からそれぞれプロ初安打。奥村展征も10月4日阪神戦(甲子園)でラファエル・ドリスからプロ初本塁打。トライアウトで西武から移籍してきた田代将太郎は終盤の貴重な代走守備固めとして73試合に出場した。
開幕投手を務めたデービッド・ブキャナンがシーズン最終登板で10勝目を挙げ,チームとして3年ぶりとなる2ケタ勝利投手に。小川泰弘はオフの右肘手術で初登板は5月13日DeNA戦(横浜)と出遅れながらも8勝。前半全く勝てず中継ぎに配置転換された原樹理だったが,8月16日巨人戦(神宮)でプロ初完封勝利を遂げるなど自己最多の6勝。山中浩史は8月30日,9月15日いずれも阪神戦(甲子園)で先発登板し2勝とトラキラーぶりを発揮した。
7月20日中日戦(神宮)でドラフト2位大下佑馬が,8月25日DeNA戦(神宮)で高卒2年目の梅野雄吾がそれぞれプロ初勝利を挙げるとそれ以降セットアッパーに定着。小川と同時期に右肘手術を受けた星知弥が9月13日巨人戦(東京ドーム)で先発としておよそ1年ぶりの白星。高卒3年目の左腕高橋奎二が10月2日横浜DeNA戦(神宮)でプロ初勝利。
石山は35セーブで惜しくもタイトルには届かなかったが,近藤はリーグトップの42ホールドポイントでプロ17年目にして初タイトルとなる最優秀中継ぎ賞を受賞。中澤雅人がチーム3位の11ホールドポイント。
35試合登板の秋吉亮は5年目にして初の防御率4点台とふるわず故障以外で初の二軍落ちを喫した。梅野と同期の2年目寺島成輝は7月1日阪神戦(神宮)の先発登板のみで防御率18.00。移籍の山田大樹は2試合の登板(いずれも先発)で防御率15.88。館山昌平は5試合に先発したが4敗と,これで2年連続未勝利となってしまった。
長くスワローズのブルペンを支えてきた松岡健一と山本哲哉が今季限りでの現役引退を表明し,10月8日阪神戦(神宮)で引退登板が行われた。
【表1】セ・リーグ順位表
順位 | チーム | 試合 | 勝数 | 敗数 | 引分 | 勝率 | 勝差 | 得点 | 失点 | 本塁 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
1 | 広 島 | 143 | 82 | 59 | 2 | .582 | 優勝 | 721 | 651 | 175 | 95 | .262 | 4.12 |
2 | ヤクルト | 143 | 75 | 66 | 2 | .532 | 7.0 | 658 | 665 | 135 | 68 | .266 | 4.13 |
3 | 巨 人 | 143 | 67 | 71 | 5 | .486 | 6.5 | 625 | 575 | 152 | 61 | .257 | 3.79 |
4 | DeNA | 143 | 67 | 74 | 2 | .475 | 1.5 | 572 | 642 | 181 | 71 | .250 | 4.18 |
5 | 中 日 | 143 | 63 | 78 | 2 | .447 | 4.0 | 598 | 654 | 97 | 61 | .265 | 4.36 |
6 | 阪 神 | 143 | 62 | 79 | 2 | .440 | 1.0 | 577 | 628 | 85 | 77 | .253 | 4.03 |
広島がリーグ3連覇。大瀬良大地が最多勝と最優秀勝率。シーズン途中に支配下選手登録されたヘロニモ・フランスアが,8月にプロ野球最多記録タイの月間18試合登板,月間防御率0.51で月間MVPを受賞した。
巨人はエース菅野智之が2年連続沢村賞を受賞したが,それに続く投手がおらず苦戦を強いられた。これで球団ワーストタイ記録なる4年連続V逸となり,高橋由伸監督はその責任を取り辞任を余儀なくされた。オフにはFAで広島から丸佳浩,西武から炭谷銀次朗を獲得。さらにオリックスを自由契約となった中島宏之と,シアトル・マリナーズを自由契約となった岩隈久志まで獲得。なりふり構わない補強に出ている。
3年ぶりにBクラスに転落したDeNA。ルーキー東克樹がチームトップの11勝を挙げ新人王。ストッパー山崎康晃がリーグトップの37セーブで初タイトル獲得。ネフタリ・ソトも来日1年目で本塁打王に輝きながらもチーム得点がリーグ最下位と投打が噛み合わなかった。
中日は球団史上ワーストとなる6年連続Bクラス。森繁和監督も退任となった。それでもリーグ打率1位にダヤン・ビシエド,3位平田良介,5位ソイロ・アルモンテと個々の成績は光った。ビシエドは首位打者に最多安打。8月にはリーグ新記録となる月間47安打をマークした。
阪神は実に2001年以来17年ぶりに最下位に転落。昨年2位の原動力となった自慢のリリーフ陣が崩壊。4番候補としてキャンプ〜オープン戦と前評判の高かった新外国人ウィリン・ロサリオが期待外れに終わり,金本知憲監督は任期を残しながら電撃解任された【表1】。
チーム成績
【表2-1】チーム月別成績
通産 | |||||||||||||
月 | 試合 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 順位 | 打率 | 本塁 | 得点 | 失点 | 防御 | 勝率 | 順位 |
3・4 | 24 | 9 | 15 | 0 | .375 | 6 | .245 | 18 | 107 | 119 | 4.40 | .375 | 6 |
5 | 23 | 10 | 12 | 1 | .455 | 5 | .259 | 24 | 86 | 112 | 4.40 | .413 | 6 |
6 | 23 | 15 | 8 | 0 | .652 | 1 | .267 | 23 | 121 | 107 | 4.26 | .493 | 2 |
7 | 19 | 9 | 10 | 0 | .474 | 4 | .289 | 18 | 84 | 87 | 3.99 | .489 | 2 |
8 | 25 | 14 | 11 | 0 | .560 | 2 | .288 | 25 | 136 | 121 | 4.56 | .504 | 2 |
9 | 22 | 12 | 9 | 1 | .571 | 2 | .255 | 17 | 96 | 101 | 3.66 | .515 | 2 |
10 | 7 | 6 | 1 | 0 | .857 | 1 | .243 | 10 | 28 | 18 | 2.29 | .532 | 2 |
3月は2016年3月30日から引き分けを挟んで4連勝。4月・5月と最下位だったことは鮮明だが,6月以降はいずれも2位でその月を終えているのは少し意外に感じさせる。とりわけ7月はジェットコースターのような成績だった。8連敗の最下位でオールスターに突入。実に二週間以上勝利から遠ざかりながら,20日中日戦(神宮)から7連勝し再びリーグ2位に浮上。広島を除く5球団が2位から最下位まで僅差にひしめき,順位も日替わりで変動する日々だったが,8月26日以降は2位を明け渡すことなく,10月2日に2位を確定させた。【表2-1】。
【表2-2】チームホーム/ビジター別成績
試合 | 勝数 | 敗数 | 引分 | 勝率 | 得点 | 失点 | 本塁 | 盗塁 | 打率 | 防御率 | |
ホーム | 71 | 41 | 30 | 0 | .577 | 392 | 361 | 93 | 43 | .282 | 4.37 |
ビジター | 72 | 34 | 36 | 2 | .486 | 266 | 304 | 42 | 25 | .250 | 3.89 |
昨年15勝56敗 勝率.211と大きく負け越したビジターゲームの成績も劇的に変化を遂げた。甲子園では8勝2敗。6連勝で今季を終え,ナゴヤドームでも8月10日まで6連敗(前年から数えると8連敗)と鬼門だったが,8月11日から5連勝で来季を迎える。横浜スタジアムでは4カード中3カードに勝ち越し7勝5敗。交流戦は楽天生命パーク,大宮市営,西武ドーム,札幌ドームで計9試合を6勝3敗。
東京ドームは3勝6敗1分。マツダスタジアムが2勝9敗とここ数年広島の独走を許す元凶となっている【表2-2】。
【表2-3】チーム曜日別成績
試合 | 勝数 | 敗数 | 引分 | 勝率 | 得点 | 失点 | 本塁 | 盗塁 | 打率 | 防御率 | |
月曜日 | 6 | 4 | 2 | 0 | .667 | 31 | 32 | 7 | 2 | .318 | 4.75 |
火曜日 | 25 | 13 | 11 | 1 | .542 | 114 | 103 | 27 | 13 | .272 | 3.54 |
水曜日 | 23 | 8 | 14 | 1 | .364 | 90 | 128 | 21 | 6 | .242 | 5.03 |
木曜日 | 19 | 13 | 6 | 0 | .684 | 100 | 74 | 20 | 11 | .274 | 3.50 |
金曜日 | 20 | 11 | 9 | 0 | .550 | 97 | 89 | 20 | 11 | .279 | 4.02 |
土曜日 | 24 | 12 | 12 | 0 | .500 | 116 | 129 | 17 | 11 | .263 | 4.82 |
日曜日 | 26 | 14 | 12 | 0 | .538 | 110 | 110 | 23 | 14 | .256 | 3.69 |
計 | 143 | 75 | 66 | 2 | .532 | 658 | 665 | 135 | 68 | .266 | 4.13 |
2016年に火曜日の勝率が.167(4勝20敗)に終わったことから着目を始めた曜日別成績は水曜日を除いたすべての曜日で勝率.500以上と安定した成績となった。水曜日だけ防御率が5点台と突出している。
最長の連勝は木曜日で,5月第5週から8月第3週にかけて8連勝。7試合あったサヨナラ勝利のうち3試合が木曜日。連敗は水曜日で,4月第2週から5月第3週にかけての6連敗が最長だった。月曜日は海の日の7月第3週から現在4連勝でシーズンを終えた。【表2-3】。
【表2-4】チーム年度別成績推移直近10年間 ※()はリーグ順位
試合 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 勝差 | 順位 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 | |
2018 | 143 | 75 | 66 | 2 | .532 | 7.0 | 2 | 658(2) | 665(6) | 135(4) | 68(4) | .266(1) | 4.13(4) |
2017 | 143 | 45 | 96 | 2 | .319 | 44.0 | 6 | 473(6) | 653(6) | 95(6) | 50(5) | .234(6) | 4.21(6) |
2016 | 143 | 64 | 78 | 1 | .451 | 25.5 | 5 | 594(2) | 694(6) | 113(4) | 82(2) | .256(2) | 4.73(6) |
2015 | 143 | 76 | 65 | 2 | .539 | -1.5 | 1 | 574(1) | 518(4) | 107(2) | 83(3) | .257(1) | 3.31(4) |
2014 | 144 | 60 | 81 | 3 | .426 | 21.0 | 6 | 667(1) | 717(6) | 139(3) | 62(5) | .279(1) | 4.62(6) |
2013 | 144 | 57 | 83 | 4 | .407 | 28.5 | 6 | 577(3) | 682(5) | 134(2) | 70(4) | .253(4) | 4.26(5) |
2012 | 144 | 68 | 65 | 11 | .511 | 20.0 | 3 | 499(2) | 514(5) | 90(2) | 63(4) | .260(1) | 3.35(5) |
2011 | 144 | 70 | 59 | 15 | .543 | 2.5 | 2 | 484(1) | 504(5) | 86(3) | 43(5) | .244(3) | 3.36(5) |
2010 | 144 | 72 | 68 | 4 | .514 | 6.5 | 4 | 617(3) | 621(3) | 124(3) | 66(4) | .268(2) | 3.85(2) |
2009 | 144 | 71 | 72 | 1 | .496 | 22.0 | 3 | 548(3) | 606(5) | 116(4) | 106(1) | .259(2) | 3.97(5) |
あと1勝で優勝した2015年に並べるところだった。昨年規定打席以上の3割打者は0人,.234でリーグ最下位だったチーム打率はリーグトップの.266。同じくリーグ最下位だった得点は473から658にのし上がった。チーム防御率は数字だけ見ると。4.21→4.13と大きな改善には至らなかったが,リーグ4位というのはここ10年で2番目タイの数字である。【表2-2】。
【表3】チーム別対戦成績
広 島 | 巨 人 | DeNA | 中 日 | 阪 神 | 西 武 | ソフト | 日ハム | オリク | ロッテ | 楽 天 | 計 | |
試合 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 143 |
勝利 | 6 | 13 | 15 | 14 | 15 | 2 | 2 | 1 | 2 | 2 | 3 | 75 |
敗戦 | 19 | 11 | 10 | 10 | 10 | 1 | 1 | 2 | 1 | 1 | 0 | 66 |
引分 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
得点 | 110 | 111 | 116 | 127 | 116 | 13 | 20 | 10 | 16 | 8 | 11 | 658 |
失点 | 143 | 126 | 109 | 116 | 107 | 12 | 14 | 14 | 11 | 7 | 6 | 665 |
安打 | 215 | 257 | 212 | 228 | 227 | 24 | 30 | 28 | 24 | 23 | 19 | 1287 |
本塁 | 22 | 23 | 27 | 30 | 19 | 1 | 6 | 0 | 3 | 3 | 1 | 135 |
三振 | 185 | 151 | 189 | 128 | 170 | 16 | 20 | 15 | 14 | 15 | 28 | 931 |
四球 | 112 | 75 | 111 | 96 | 94 | 14 | 15 | 9 | 13 | 9 | 13 | 561 |
死球 | 8 | 7 | 5 | 8 | 10 | 3 | 3 | 2 | 1 | 2 | 1 | 50 |
併殺 | 20 | 23 | 19 | 22 | 18 | 0 | 1 | 3 | 3 | 1 | 2 | 112 |
盗塁 | 19 | 8 | 14 | 9 | 10 | 3 | 1 | 0 | 1 | 0 | 3 | 68 |
失策 | 26 | 13 | 9 | 11 | 21 | 0 | 1 | 0 | 6 | 0 | 1 | 88 |
打率 | .250 | .295 | .259 | .269 | .267 | .245 | .280 | .277 | .253 | .247 | .200 | .266 |
防御 | 4.92 | 4.34 | 4.10 | 4.30 | 3.54 | 4.15 | 3.86 | 5.04 | 3.00 | 2.33 | 2.00 | 4.13 |
広島,日本ハムを除く9球団に勝ち越した。対巨人戦の勝ち越しは2011年以来7年ぶり。対オリックスも足かけ4年で8連敗となったが,2015年以来3年ぶりに勝ち越すことができた。【表3】。
【表4】守備成績
チーム | 守備率 | 試合 | 守機備会 | 刺殺 | 補殺 | 失策 | 併殺 | 捕逸 | |
参加 | 球団 | ||||||||
中 日 | .991 | 143 | 5488 | 3788 | 1648 | 52 | 328 | 122 | 10 |
巨 人 | .988 | 143 | 5429 | 3837 | 1526 | 66 | 314 | 112 | 7 |
DeNA | .987 | 143 | 5346 | 3807 | 1470 | 69 | 336 | 126 | 7 |
広 島 | .985 | 143 | 5485 | 3846 | 1556 | 83 | 355 | 128 | 7 |
ヤクルト | .9839 | 143 | 5475 | 3823 | 1564 | 88 | 318 | 114 | 6 |
阪 神 | .9835 | 143 | 5406 | 3828 | 1489 | 89 | 305 | 111 | 9 |
チーム守備率は4毛差でリーグ5位。失策数も最下位阪神と1差の5位。山田13,西浦11,坂口・廣岡5など内野手の失策が目立った。それでもこれは青木が加入したことで,春季キャンプ途中からオプションにと試みた坂口が結果として一塁手として最も多い94試合に先発出場したことで,一塁手の捕球を含めた数字が表れた面もあるだろう。それでもこの坂口の一塁起用によって,選手起用のバリエーションが増し,より攻撃的なオーダーが組むことが出来たメリットの方がはるかに上回ると思う。【表4】。
【表5-1】交流戦順位表
試合 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 得点 | 失点 | 本塁 | 盗塁 | 打率 | 防御率 | ||
1 | 東京ヤクルト | 18 | 12 | 6 | 0 | .667 | 78 | 64 | 14 | 8 | .251 | 3.38 |
2 | オリックス | 18 | 11 | 6 | 1 | .647 | 78 | 58 | 18 | 11 | .249 | 2.98 |
3 | 千葉ロッテ | 18 | 11 | 7 | 0 | .611 | 59 | 49 | 7 | 17 | .278 | 2.40 |
4 | 福岡ソフトバンク | 18 | 11 | 7 | 0 | .611 | 81 | 77 | 30 | 10 | .235 | 3.83 |
5 | 北海道日本ハム | 18 | 10 | 8 | 0 | .556 | 104 | 79 | 24 | 16 | .267 | 4.14 |
6 | 埼玉西武 | 18 | 10 | 8 | 0 | .556 | 101 | 88 | 26 | 22 | .268 | 4.59 |
7 | 巨 人 | 18 | 8 | 10 | 0 | .444 | 66 | 59 | 20 | 9 | .248 | 3.13 |
8 | 横浜DeNA | 18 | 8 | 10 | 0 | .444 | 62 | 81 | 20 | 13 | .241 | 4.33 |
9 | 中 日 | 18 | 7 | 11 | 0 | .389 | 67 | 88 | 12 | 7 | .260 | 4.95 |
10 | 広 島 | 18 | 7 | 11 | 0 | .389 | 77 | 104 | 19 | 8 | .260 | 5.60 |
11 | 阪 神 | 18 | 6 | 11 | 1 | .353 | 59 | 77 | 8 | 11 | .250 | 3.70 |
12 | 東北楽天 | 18 | 6 | 12 | 0 | .333 | 50 | 58 | 13 | 14 | .242 | 3.08 |
【表5-2】交流戦通算成績[2005-2018]
通算[2005-2018] | 試合 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 勝差 | |
1 | 福岡ソフトバンク | 336 | 203 | 121 | 12 | .627 | |
2 | 千葉ロッテ | 336 | 176 | 146 | 14 | .547 | 26.0 |
3 | 北海道日本ハム | 336 | 178 | 148 | 10 | .546 | 0.0 |
4 | 巨 人 | 336 | 170 | 157 | 9 | .520 | 8.5 |
5 | 埼玉西武 | 336 | 168 | 161 | 7 | .511 | 3.0 |
6 | 中 日 | 336 | 163 | 163 | 10 | .500 | 3.5 |
7 | オリックス | 336 | 162 | 165 | 9 | .495 | 1.5 |
8 | 阪 神 | 336 | 159 | 166 | 11 | .489 | 2.0 |
9 | 東京ヤクルト | 336 | 155 | 173 | 8 | .473 | 5.5 |
10 | 東北楽天 | 336 | 153 | 179 | 4 | .461 | 4.0 |
11 | 広 島 | 336 | 144 | 181 | 11 | .443 | 5.5 |
12 | 横浜DeNA | 336 | 129 | 200 | 7 | .392 | 17.0 |
ソフトバンクの4連覇を阻止したのがヤクルトだった。最終カードの日本ハム戦に1勝2敗となり全球団から勝ち越しとはならなかったが,12勝6敗で球団史上初の交流戦最高勝率に。しかし全体ではパ・リーグが59勝48敗1分と9年連続で勝ち越したため,規定によりMVPは勝ち越したリーグの勝率トップとなったオリックスから打率.397,3本塁打,10打点の吉田正尚が選出された。ヤクルトには最高勝率球団として賞金500万円が贈られたが,これも勝ち越したパ・リーグの中の勝率2位球団(千葉ロッテ)と同額。オリックスが勝ち越しリーグの勝率1位球団に贈られる1000万円を手にするという珍事にも見舞われてしまった【表5-1】。
交流戦通算では昨年時で2.0差を付けられていた東北楽天を抜き9位に再浮上した【表5-2】。
DATE2018〜「9回のヤクルト」
2018年のヤクルトを象徴する言葉といえば「9回のヤクルト」ではなかろうか。
イニング別得点をみると,1回(111点),3回(76点)に続き,9回(75点)は3番目。この9回の75点というのは,2位の阪神(49点)と較べても圧倒的な数字(【図1】)。9回のチーム打率も427打数136安打の.319で,2位の中日(.252)以下を大きく引き離した。
【図1】セ・リーグイニング別得点率グラフは各チームのイニング別得点率。得点率とはそのイニングの平均得点。
8回終了時ビハインドの試合は73試合あり,うち29試合で計61得点を挙げ,同点,逆転に成功した試合が13試合。その勝敗は11勝1敗1分。9回に追いつきそのまま引き分けたのが9月12日巨人戦(東京ドーム)。唯一の敗戦は9回に追いつき,延長11回で勝ち越したものの逆転サヨナラ負けを喫した8月4日阪神戦(京セラドーム)。
ちなみに昨年は9回の攻撃をビハインドで迎えた試合は0勝83敗1分だった。いかに今季のスワローズは最終回まで”執念”をもって奇跡的な試合の数々を演じてきたか。今一度その11試合の軌跡を振り返っておきたい。
@ 5月6日広島戦(神宮)
C 000 200 000 10 3
S 000 100 001 11x4
九里7,Hジャクソン1,中崎1,今村0/3,●一岡12/3−會澤
石川5,秋吉2,近藤1,石山2,○中尾(2-0)1−中村,井野,古賀
A 6月7日ソフトバンク戦(神宮)
H 000 100 020 0 3
S 010 000 101 1x4
石川7,H加治屋1,森1,●モイネロ2/3−甲斐
ブキャナン7,中尾2/3,松岡1/3,カラシティー1,○石山(2-0)1−中村
B 6月28日中日戦(神宮)
D 011 000 031 6
S 002 000 025x9
笠原5,H鈴木1,H又吉1,H祖父江1,●田島1/3−木下拓,大野奨
石川5,H山中1,H中尾1,近藤2/3,中澤2/3,○原(1-5)2/3−中村
C 7月16日DeNA戦(横浜)
S 000 000 005 5
B 000 001 001 2
小川7,○中尾(7-3)1,石山1−中村
バリオス1,H武藤3,H須田1,H加賀2,Hパットン1,●山崎康1/3,三上2/3−伊藤
D 7月21日中日戦(神宮)
D 020 010 011 5
S 000 002 203x7
小笠原51/3,H佐藤1/3,H岡田1/3,祖父江1,H又吉1,●鈴木博1/3−大野奨
石川5,風張1,中尾1,近藤1,○石山(3-0)1−中村,井野
E 7月26日巨人戦(京セラドーム)
S 000 000 001 01 2
G 100 000 000 00 1
原7,風張1,H近藤1,H大下1/3,H中澤1/3,○星(1-0)1/3,S石山(17)1−中村
メルセデス8,マシソン1,H澤村1,●上原−宇佐美,小林
F 8月12日中日戦(ナゴヤドーム)
S 000 000 003 3
D 000 000 010 1
石川70/3,○近藤(3-3)1,石山(19)1−井野,中村
藤嶋7,H佐藤優1,●鈴木博2/3,岡田1/3−武山,松井雅
G 8月14日巨人戦(神宮)
G 000 000 050 5
S 100 201 002x6
内海52/3,田原11/3,H澤村1,●アダメス1/3−大城,小林
小川72/3,近藤0/3,ハフ1/3,○風張(2-3)1−中村,井野
H 8月21日広島戦(マツダスタジアム)
S 010 003 001 5 10
C 010 111 100 0 5
小川5,ハフ1,梅野1,秋吉1,○近藤(4-3)1,石山1−中村,井野
ジョンソン5,永川1/3,今村12/3,Hフランスア1,中崎1,●アドゥア−石原
I 9月4日中日戦(神宮)
D 330 002 100 00 9
S 010 200 006 03x12
ガルシア7,佐藤優1,田島1/3,祖父江0/3,岩瀬1/3,福谷0/3,ロドリゲス11/3,●又吉2/3−松井雅,武山
小川4,中澤2,中尾2,梅野1,H石山1,○近藤(5-3)1−中村,井野
J 9月25日中日戦(ナゴヤドーム)
S 000 101 002 3 7
D 111 001 000 0 4
石川5,中尾1,風張2,○梅野(2-2)1,S石山(31)1−井野,中村
藤嶋5,H岡田1,H祖父江1,Hロドリゲス1,佐藤1,●鈴木博2/3,又吉1/3−松井雅
おわりに〜2019シーズンに向けて
ドラフト3位蔵本治孝,同5位金久保優斗のほか,村中恭兵,岩橋慶侍,屋宜照悟,平井諒が一軍登板無くシーズンを終えた。山川晃司,渡邉大樹は一軍出場無し。日隈ジュリアスは育成契約2年目となる。
佐藤由規,成瀬善久,久古健太郎,菊沢竜佑,古野正人,大松尚逸,比屋根渉,鵜久森淳志の8選手に戦力外通告。カラシティーとウルキデスは自由契約。由規は東北楽天と育成選手契約を結んだ。
ドラフトでは清水昇(国学院大・投手),中山翔太(法政大・内野手),市川悠太(明徳義塾高・投手),浜田太貴(明豊高・内野手),坂本光士郎(新日鉄住金広畑・投手),鈴木裕太(日本文理高・投手),久保拓真(九州共立大・投手),吉田大成(明治安田生命・内野手)の8名。育成ドラフトで内山太嗣(栃木ゴールデンブレーブス・捕手),松本友(福井ミラクルエレファンツ・内野手)の2名を指名した。
ソフトバンクから自由契約となっていた寺原隼人,五十嵐亮太両投手を獲得。五十嵐は実に10年ぶりの古巣復帰となる。秋吉,谷内との交換トレードで北海道日本ハムから高梨裕稔投手,太田賢吾内野手を,新外国人としてアリゾナ・ダイヤモンドバックス3Aアルバート・スアレス,コロラド・ロッキーズ3Aスコット・マクガフ両投手を獲得。投手を中心に補強を進め,支配下68名,育成3名の計71名で2019年シーズンに挑むことになった。
首脳陣は宮本慎也ヘッドコーチ以下,田畑一也投手コーチ,石井弘寿投手コーチ,石井琢朗打撃コーチ,宮出隆自打撃コーチ,土橋勝征内野守備コーチ,河田雄祐外野守備走塁コーチ,杉村繁巡回コーチといずれも留任。
野口寿浩バッテリーコーチが退団し,衣川篤史スコアラーがバッテリーコーチに就任した。
ファームは三木肇二軍チーフコーチ,野村克則二軍バッテリーコーチが石井一久ゼネラルマネージャーに招聘され楽天に移籍。赤堀元之二軍投手コーチも中日の投手コーチに招かれた。
来季3年目を迎える高津臣吾二軍監督。橋上秀樹二軍チーフコーチが23年ぶりにスワローズに復帰。引退した松岡が二軍投手コーチ,福川将和打撃投手が二軍バッテリーコーチに新たに就任。小野寺力二軍投手コーチ,北川博敏二軍打撃コーチ,松元ユウイチ二軍打撃コーチ。森岡良介二軍内野・守備走塁コーチ,福地寿樹二軍外野守備・走塁コーチは留任となった。
ヤクルト球団球団設立50周年を迎える来季のスローガンは「KEEP ON RISING 躍進」。
2位から「さらなる高みを目指」すことになる。となればそれはただ1つ“優勝”しかない。
参考資料
『週刊ベースボール』第73巻 第65号 通産3556号,ベースボールマガジン社,2018.12
「ニッカンスコア速報」
http://www.nikkansports.com/baseball/professional/schedule/2018/s201803.html
http://www.nikkansports.com/baseball/professional/schedule/2018/s201804.html
http://www.nikkansports.com/baseball/professional/schedule/2018/s201805.html
http://www.nikkansports.com/baseball/professional/schedule/2018/s201806.html
http://www.nikkansports.com/baseball/professional/schedule/2018/s201807.html
http://www.nikkansports.com/baseball/professional/schedule/2018/s201808.html
http://www.nikkansports.com/baseball/professional/schedule/2018/s201809.html
http://www.nikkansports.com/baseball/professional/schedule/2018/s201810.html
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