2017年12月25日

総括2017―球団史上ワースト年間96敗

はじめに
「うちの力はこんなものじゃない」「いつまでもくよくよしていないで,さっさとその状況から抜け出し,本来の自分を取り戻せ」就任3年目を迎えた真中満監督が掲げたチームスローガンは「目を覚ませ ! SNAP OUT OF IT 2017」。
しかし終わってみれば45勝96敗2分 勝率.319。1950年国鉄スワローズを上回り球団史上ワーストとなる年間96敗。1970年アトムズ以来47年ぶりとなる借金51。屈辱のシーズンとなった。

例年のこととはいえ故障者に泣かされた。中でも最大の誤算は川端慎吾だった。キャンプ中盤で腰痛を訴え,保存療法による回復を目指したが症状が改善せず。30歳を迎えるプロ12年目のシーズンを自身初の一軍出場なしに終わった。開幕から間もない4月18日巨人戦(熊本)で畠山和洋が左腓腹筋肉離れ。5月7日DeNA戦(横浜)で史上12人目プロ野球タイ記録となる1試合4二塁打をマークした高井雄平は6月28日巨人戦(福島)で右手有鈎骨を骨折。6月30日阪神戦(甲子園)で守護神秋吉亮が右肩甲下筋肉離れ。内野陣の精神的支柱である大引啓次も7月からほぼ丸2ヶ月間肩の故障で一軍登録から外れた。シーズン終盤の9月には星知弥小川泰弘が相次いで右肘を疲労骨折していることが判明した。10月3日の最終戦(神宮)を前にジョシュ・ルーキが造反事件を起こすなど,最後までドタバタ劇が繰り返された。

球団史上最高額となる契約金150万ドルで獲得したロス・オーレンドルフは4試合の登板(いずれも先発)で0勝1敗,防御率5.50と振るわぬまま9月14日に自由契約となった。6月13日楽天戦(神宮)に史上46人目の通算2500投球回を達成した石川雅規だったが,5月18日巨人戦(東京ドーム)を最後に勝ち星から見放されセ・リーグでは1961年金田正一(国鉄)以来56年ぶり5人目(6度目)となるシーズン11連敗を喫した。石川に次ぎチーム2番目の年長者となる館山昌平は故障以外では自身ワーストタイとなる2試合の登板(0勝1敗)に終わった。

3年連続トリプルスリーを目指した山田哲人は開幕から調子が上がらず全143試合フルイニング出場を果たしたが,打率.247,24本塁打,14盗塁と極度の不振に悩んだ1年となった。規定打席に達したのは坂口智隆中村悠平,7月25日中日戦(神宮)で史上102人目となる通算200号本塁打を記録したウラディミール・バレンティンの4名。野手で一年間一軍登録を外れなかったのは山田と上田剛史の2名のみだった。投手では規定投球回をクリアしたのは新加入のデービッド・ブキャナンのみ。一年を通じてメンバーを固定できなかったことが分かる。

こんなチーム状況で出場機会を得た選手の筆頭格は藤井亮太だった。捕手登録ながら主に三塁手として自己最多の97試合に出場した。後半戦からは山崎晃大朗がセンターのポジションを与えられ,8月26日DeNA戦(神宮)で石田健太からプロ初本塁打を放ち,4年目の奥村展征は7月11日巨人戦(東京ドーム)で菅野智之からプロ初安打,7月29日広島戦(マツダ)でプロ初打点をマークし,出場試合を増やした。12年目の井野卓は6月16日日本ハム戦(神宮)で自身6年ぶりとなる安打をマークした。

一方で開幕スタメンに名を連ねた西浦直亨は打率.208,0本塁打,昨年中村と併用された西田明央は試合出場機会が激減,谷内亮太は7月以降ファーム暮らしと苦渋を舐めた。三輪正義比屋根渉は出場試合を大きく減らした。高卒ルーキーでプロ初打席初本塁打デビューの廣岡大志は首脳陣の方針で一軍では11試合の出場にとどまった。ディーン・グリーンは6月4日埼玉西武戦(神宮)で華々しいデビューを飾ったものの安定感を欠き,7月にカルロス・リベロを獲得することになった。

投手では2年目の原樹理。シーズン当初は中継ぎだったが,5月19日阪神戦(神宮)から先発に再転向し最後までローテーションを守り続けた。チーム最多の66試合に登板したのは石山泰稚。移籍2年目の近藤一樹は54試合に登板。6月30日阪神戦(甲子園)で史上60人目(66度目)となる1球セーブでプロ初セーブを記録した。キャンプで出遅れ交流戦明けの一軍合流となった松岡健一が37試合,トミージョン手術明けの山本哲哉は2年ぶりの一軍登板から32試合,中澤雅人が28試合とベテラン投手陣が奮闘した。9月7日DeNA戦(横浜)でプレストン・ギルメット,翌9月8日巨人戦(東京ドーム)で岩橋慶侍が先発起用され,その適性を見せたのも光明だった。

山中浩史は12試合に先発し2勝6敗,佐藤由規は10試合に先発し3勝5敗といずれも負けが先行。村中恭兵は13試合,成瀬善久が12試合,久古健太郎にいたっては6試合の登板に終わり,中継ぎ左腕不足も深刻だった。平井諒は4試合,風張蓮は3試合の一軍登板に終わった。7月25日には2013年ドラフト1位杉浦稔大と北海道日本ハム屋宜照悟との交換トレードが成立した。

4月1日DeNA戦(神宮)の星に始まり,6月8日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で2016年ドラフト4位中尾輝,8月9日DeNA戦(神宮)で同3位梅野雄吾,9月12日中日戦(神宮)で同6位菊沢竜佑,9月30日中日戦(神宮)で同1位寺島成輝と新人5投手全員がルーキーイヤーにプロ初登板を果たした。 試合出場こそ無かったが同5位古賀優大も6月23日からのDeNA戦(神宮)で一軍登録された。2年目の渡邉大樹も9月3日広島戦(神宮)でプロ初出場を飾った。

そんな苦しい1年にあって印象的なサヨナラ打も多く生まれた。4月2日DeNA戦(神宮)で鵜久森淳志がチームでは1982年岩下正明以来35年ぶり2人目,プロ野球史上16人目となる代打サヨナラ満塁本塁打。5月14日中日戦(松山)では荒木貴裕がサヨナラ満塁本塁打。6月23日DeNA戦(神宮)で武内晋一がサヨナラタイムリー。そして球史に残る7月26日中日戦(神宮)で大松尚逸が放った今季2本目の代打サヨナラ本塁打はプロ野球史上4試合目となる10点差逆転勝利を決めるものだった。

【表1】セ・リーグ順位表
順位チーム試合勝数敗数引分勝率勝差得点失点本塁盗塁打率防御率
1広 島14388514.633736540152112.2733.39
2阪 神14378614.56110.058952811370.2493.29
3DeNA14373655.5294.559759813439.2523.81
4巨 人14372683.5142.053650411356.2493.31
5中 日14359795.42812.048762311177.2474.05
6ヤクルト14345962.31915.54736539550.2344.21

投打に充実の戦力で広島の2年連続独走優勝となったセ・リーグ。精神的支柱だった黒田博樹の引退,開幕投手クリス・ジョンソン,クローザー中崎翔太の離脱などを全く感じさせないチーム力。田中広輔,菊池涼介,丸佳浩の1,2,3番コンビネーションが確立され,鈴木誠也が4番に座る。チーム打率,得点,本塁打,盗塁いずれもリーグトップだった。
リーグトップの防御率3.29を残したのは阪神。桑原謙太郎,マルコス・マテオ,ラファエル・ドリスの勝ちパターンは盤石で,桑原とマテオが43HPで最優秀中継ぎ賞を同時受賞。ドリスが37セーブでセーブ王に輝いた。打線は糸井嘉男,鳥谷敬,福留孝介のベテラントリオが牽引した。
広島,阪神をクライマックスシリーズで撃破し3位から日本シリーズに進出したDeNA。2年目今永昇太が11勝。ルーキー濱口遥大が10勝。新外国人ジョー・ウィーランドも10勝と新戦力が台頭。打点王,最多安打のホセ・ロペス,主砲筒香嘉智,首位打者・宮崎敏郎のクリーンアップの存在感も際立ち,打率.252,本塁打134はともにリーグ2位だった。
最多勝の菅野智之,最優秀防御率,最多奪三振のマイルズ・マイコラス,さらに高卒4年目の田口麗斗を加えた先発3本柱で実に27もの貯金を作った巨人。しかし球団史上ワースト13連敗を喫するなど投打が噛み合わず,2007年から導入されたクライマックスシリーズへの連続出場が10年で途切れ2006年以来のBクラスに沈んだ。開幕前目玉と言われたFAによる大型補強。陽岱鋼は怪我で大きく出遅れ,山口俊に至ってはシーズン中に泥酔の末暴力事件を起こして謹慎処分となった。
中日は5年連続のBクラス。新人ながら149安打を放った京田陽太が新人王に輝いた【表1】

チーム成績
【表2-1】チーム月別成績
通産
試合勝数負数引分勝率順位打率本塁得点失点防御勝率順位
3・42510150.4005.2291271883.08.4005
52410140.4174.2581298943.69.4085
6228131.3814.22016751164.92.4006
7235171.2276.23422811234.79.3596
8267190.2696.25123871304.87.3396
9215160.2386.2021051863.65.3246
102020.0005.265010167.50.3196


3月31日の開幕戦に勝利,チームは実に2年ぶりとなる貯金を作った。開幕カードを勝ち越し,開幕4試合で3勝1敗と開幕ダッシュを決めたかと思ったが・・・。
4試合目となった4月4日阪神戦(京セラドーム)で藤浪晋太郎の右打者に対する執拗な内角攻めから打線全体の歯車が狂った。翌5日から6連敗。そこから一進一退のチーム状態となる。
それでも5月17日巨人戦(東京ドーム)から4連勝し借金を3まで減らし,21日阪神戦(神宮)も6回を終えて4-2とリードする展開。初の同一カード3連勝が視界に入ってきた試合を継投のミスから落とした試合が今季のターニングポイントとなった。この試合から5連敗。
なんとか連敗を止めて交流戦に突入したものの,交流戦は引き分け挟んで10連敗スタート。7月には1970年以来実に47年ぶり球団史上3度目となる14連敗を喫した。前半戦を28勝52敗2分の借金24の成績で終えた。このチーム成績が反映され,オールスターゲームにヤクルトから選出されたのは小川のみ。これもまた1970年(武上四郎)以来の出来事だった。
7月25-27日中日戦(神宮)今季初の同一カード3連勝。これが今季最後の連勝となった。あとは試合毎に負けを重ねる日々。8月は月間19敗を喫したがこれも1970年以来。借金が30を超えたのも1970年以来。
9月27日広島戦(マツダ)で1950年以来球団ワーストタイ年間94敗目。10月1日中日戦(神宮)3日巨人戦(神宮)と連敗し球団ワーストの96敗で全日程を終えた。シーズン96敗以上は2005年楽天の97敗以来9度目で,セ・リーグでは99敗した1955年大洋以来62年ぶり。シーズン2度の10連敗以上は1970年以来球団史上3度目の屈辱だった【表2-1】

【表2-2】チームホームビジター別成績
試合勝数敗数引分勝率得点失点本塁盗塁打率防御率
ホーム7230402.4292913745728.2474.71
ビジター7115560.2111822793822.2213.66

ビジター球場での成績も特筆すべきほどにひどかった。ホームでは30勝40敗2分けの勝率.429に対し,ビジターは15勝56敗で借金が41。勝率にすると.211。
マツダスタジアム,横浜スタジアム,東京ドーム,ナゴヤドームでそれぞれ3勝づつ。甲子園,京セラドーム,ZOZOマリンスタジアムでそれぞれ1勝づつの計15勝。
ビジターの同一カード2連戦,3連戦は23度あったが,8度の0勝3敗を含む22度が負け越し。いわゆるカード勝ち越し(※1試合カードを除く)は5月16-18日の対巨人戦(東京ドーム)の2勝1敗のみ。しかもこのカードは東京シリーズと銘打たれ燕プロジェクトユニフォームを着用して試合に臨んだため,ビジターユニフォームで戦った68試合では13勝55敗。勝率は.191にまで落ち込んでいることになるのだ【表2-2】

【表2-3】チーム曜日別成績
試合勝数敗数引分勝率得点失点本塁盗塁打率防御率
月曜日4040.000101532.1803.82
火曜日236170.261571111311.2154.57
水曜日246180.25074119207.2294.64
木曜日198110.4217172104.2443.45
金曜日227150.31875101149.2374.17
土曜日2612140.4628593208.2383.40
日曜日256172.261101142159.2524.95
14345962.3194736539550.2344.21

昨年火曜日の勝率が.167(4勝20敗)に終わったことで着目した曜日別成績。チームの年間勝率.319を上回ったのは木曜日と土曜日で,その4割台の勝率ですら高く見えてしまうのはなんとも寂しい限り。日曜日は6月18日日本ハム戦(神宮)から引き分けを挟んで13連敗で全日程を終えている【表2-3】

【表2-4】チーム年度別成績 ※()はリーグ順位
試合勝数負数引分勝率勝差順位得点失点本塁打盗塁打率防御率
201714345962.31944.06473(6)653(6)95(6)50(5).234(6)4.21(6)
201614364781.45125.55594(2)694(6)113(4)82(2).256(2)4.73(6)
201514376652.539-1.51574(1)518(4)107(2)83(3).257(1)3.31(4)
201414460813.42621.06667(1)717(6)139(3)62(5).279(1)4.62(6)
201314457834.40728.56577(3)682(5)134(2)70(4).253(4)4.26(5)
2012144686511.51120.03499(2)514(5)90(2)63(4).260(1)3.35(5)
2011144705915.5432.52484(1)504(5)86(3)43(5).244(3)3.36(5)
201014472684.5146.54617(3)621(3)124(3)66(4).268(2)3.85(2)
200914471721.49622.03548(3)606(5)116(4)106(1).259(2)3.97(5)
200814466744.47117.55583(2)569(4)83(5)148(1).266(4)3.75(4)
200714460840.41720.56596(3)623(4)139(2)66(2).269(2)4.07(5)

チーム防御率4.21は2年連続リーグワースト。しかしこの5年間で見ると,慢性的に抱える課題とはいえ,実は優勝した2015年に次ぐ数値であった。これを強力打線で補う”打高投低”のスタイルが通用しなかったというのが低迷の要因とも言える。チーム打率は.234でリーグワースト。チーム本塁打も5年ぶりに100本を下回り,機動力も使えず打線は迫力を欠いた【表2-2】

【表3】チーム別対戦成績
広 島阪 神DeNA巨 人中 日ソフト西 武楽 天オリク日ハムロッテ
試合2525252525333333143
勝利77881000202145
敗戦171817171532131296
引分100000100002
得点827010066982121241611473
失点113111114108107212216141116653
安打1941782061892091534171721281108
本塁151422141724115095
三振2091901971631393017192013161013
四球98838067849585411454
死球41358920201044
併殺1322172523333223116
盗塁1261421011101250
失策14205211521211486
打率.232.222.243.235.248.160.288.187.183.219.272.234
防御3.964.074.414.043.846.666.005.334.563.675.044.21

交流戦で楽天と日本ハムに勝ちこしたため,全球団負け越しこそ免れたが,対戦成績も目を覆いたくなるような数字ばかり。またオリックスには2年連続で同一カード3連敗を喫している【表3】

【表4】守備成績
チーム守備率試合守機備会刺殺補殺失策併殺捕逸
参加球団
中 日.990142545738191581573871437
DeNA.988143544738581523663461267
巨 人.988143548138281585683411263
広 島.987143550638721563713321185
阪 神.985142545138301539823311198
ヤクルト.984143537137831502862801067

チーム失策数はリーグ最多の「86」。昨季がリーグ最少の「60」だっただけに,その凋落ぶりは顕著である。内野手で最も多いのは三塁手の藤井で「14」。本来は捕手登録であった藤井が三塁を守らなければならなかったチーム事情も考慮せねばならない。身体能力を生かしまるで”忍者”のようなプレーを数々みせてくれた藤井は来季から内野手登録となる。守備力向上もチーム再建には不可欠となろう【表4】

【表5】交流戦順位表と通算成績[2005-2017]
通算[2005-2017]
試合勝数負数引分勝率順位得点失点本塁盗塁打率防御率試合勝数負数引分勝率勝差
福岡ソフトバンク181260.667186512112.2682.7231819211412.627
北海道日本ハム188100.44496671810.2423.3331816814010.54525.0
千葉ロッテ186120.33311709677.2434.9131816513914.5431.0
巨 人186120.3331063821112.2594.253181621479.5245.5
埼玉西武181071.588385622315.2513.163181581537.5085.0
中 日18990.500864761612.2434.1431815615210.5060.5
阪 神181080.556474631012.2513.0131815315510.4973.0
オリックス181080.55667180161.2763.793181511598.4873.0
東北楽天181080.55658171164.2423.503181471674.4686.0
東京ヤクルト185121.2941257100136.2225.203181431678.4612.0
広 島181260.667291592616.2662.7331813717011.4464.5
横浜DeNA18990.50078279214.2474.013181211907.38918.0

今年も交流戦を制したのはソフトバンク。直接対決で2勝1敗と勝ち越したことで,同率ながら交流戦3連覇を果たした。またパ・リーグは8年連続の勝ち越し。MVPには柳田悠岐が選出され,交流戦史上初となる2度目の受賞となった。則本昂大(楽天)が日本新記録となる8試合連続2ケタ奪三振を樹立したが,その記録がストップしたのは6月15日ヤクルト戦(神宮)だった。巨人が球団新記録となる13連敗を喫したのも交流戦期間の出来事だった【表5】

DATE2017〜七夕の悪夢
4月4日に躓き,5月21日に歯車が狂い,7月7日に終戦を迎えた。振り返ってみればそんな一年だったような気がする。真中監督の勝負手として起爆剤として決意した小川の守護神転向。これが無残にも打ち砕かれ,チームとしても万策尽きた感があった。
5月28日左内腹斜筋の肉離れで離脱した小川が,二軍調整中に高津2軍監督から中継ぎ起用が伝えられていた。ファームで中継ぎの調整登板を経て,6月30日阪神戦(甲子園)から一軍復帰。その試合で早速登板機会が訪れ,8回1イニングを三者凡退で抑える上々の滑り出しだった。しかし・・この試合で守護神・秋吉が負傷降板。翌日から守護神に指名せざるを得なかった。
ところが波に乗れないチームは終盤にリードを保って小川に継投するという試合すら作れない。ストッパーとして小川が初めて9回のマウンドに上がったのはそれから6日後の7月7日広島戦(神宮)。8-3と5点リードでセーブがつかない場面だった。

先頭打者サビエル・バティスタに投じた初球。ソロ本塁打を浴びた。1死から菊池にもソロを浴びる。これで3点差。次の丸へは四球。それでも鈴木を中飛に抑えて2死一塁までもこぎつけた。あと1人。しかし松山竜平にタイムリー二塁打を浴びて2点差にまで迫られた。西川龍馬に内野安打を許し2死一三塁。投手ジャクソンの所に打順が回り代打に起用されたのは新井貴浩だった。カウント2−1からの4球目。外角への直球を完璧に捉えられた。ライナー性の打球はバックスクリーン直撃。真っ赤に染まるレフトスタンド,三塁側はおろか,それまでおとなしかったはずの一塁側からも立ち上がり歓声があがる異様なまでのスタンドの光景。心が折れるとはまさにこのことだった。翌々日7月9日広島戦(神宮)でもセーブに失敗した小川。結局後半戦から先発に再転向し4勝を挙げた。

不安・重圧・焦り―。この試合でそれらの全てを曝け出し,チームはもはや戦う集団としての機能を失ってしまったと言っても過言ではあるまい。

おわりに〜2018シーズンに向けて
高橋奎二山川晃司は一軍出場無し。2014年ドラフト1位竹下真吾のほか,土肥寛昌中島彰吾星野雄大榎本葵原泉に戦力外が通告された。国指定の難病黄色靱帯骨化症を発症した徳山武陽,甲状腺機能低下症を患った今浪隆博は現役引退となった。飯原誉士は他球団での現役続行を目指す。
5月に左肘のトミージョン手術を受けた日隈ジュリアスは育成契約を結ぶことになった。田川賢吾古野正人大村孟も引き続き育成契約となる。選手不足に伴う暫定措置で育成選手契約を締結した新田玄気は再びブルペン捕手に復帰となる。

真中監督の退任とともに伊藤智仁投手コーチ,押尾健一戦略コーチ兼投手コーチ補佐が退団を申し入れ,水谷新太郎二軍チーフ兼内野守備走塁コーチ,笘篠誠治二軍外野守備走塁コーチとの契約が打ち切られた。

かつての一軍監督経験に加え,編成トップとしての経験を生かし,チーム力の強化と底上げを託された小川淳司監督。最大の目玉人事となったのは宮本慎也ヘッドコーチの就任だ。さらに球団OBで今季途中から巨人で広島専属スコアラーを務めていた田畑一也投手コーチ,広島のリーグ連覇に貢献した立役者とも言われた石井琢朗打撃コーチと河田雄祐外野守備走塁コーチの招聘にも成功した。
土橋勝征内野守備コーチは3年ぶりの現場復帰,野口寿浩二軍バッテリーコーチが一軍バッテリーコーチに昇格。杉村繁チーフ打撃コーチは一二軍巡回コーチと肩書が変更になった。
留任は石井弘寿投手コーチと宮出隆自打撃コーチのみと,これまで生え抜きを大事にするファミリー球団が脇を固めるコーチ陣から大幅改革に乗り出した。

2年目を迎える高津臣吾二軍監督三木肇ヘッドコーチが新たに二軍チーフコーチに就任。赤堀元之二軍投手コーチ,小野寺力二軍投手コーチ,北川博敏二軍打撃コーチ,松元ユウイチ二軍打撃コーチは留任。森岡良介野手コーチ補佐が二軍内野・守備走塁コーチ,福地寿樹外野守備走塁コーチが二軍外野守備・走塁コーチ,野村克則バッテリーコーチが二軍バッテリーコーチにそれぞれ配置転換となった。

ドラフトでは村上宗隆(捕手・九州学院高),大下佑馬(投手・三菱重工広島),蔵本治孝(投手・岡山商大),塩見泰隆(外野手・JX―ENEOS),金久保優斗(投手・東海大市原望洋高),宮本丈(内野手・奈良学園大),松本直樹(捕手・西濃運輸),沼田拓巳(投手・石川ミリオンスターズ)の8名を指名。
自由契約となっていた山田大樹(投手・前ソフトバンク),田代将太郎(外野手・前埼玉西武)2選手と,新外国人としてマット・カラシティー(カブス),ジョーダン・アルメンゴ(中日),デーブ・ハフ(韓国・LG)の3投手を獲得し,2018年シーズンに挑むことになる。

「この悔しさを胸にもう一度立ち上がり,再び上を目指そう。」―東京ヤクルトスワローズは新たに再出発することになる。

参考資料
『週刊ベースボール』第72巻 第63号 通産3490号,ベースボールマガジン社,2017.12
「ニッカンスコア速報」
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